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成年後見制度とは|法定後見と任意後見の違いと活用ポイント

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高齢化が進む中、判断能力が不十分になった場合に備える制度として「成年後見制度」が注目されています。
とくに法定後見と任意後見は、制度の開始時期や手続の違いがあるため、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。
ここでは、成年後見制度とは何かを踏まえ、2つの制度の違いや活用の場面について整理します。

成年後見制度の概要

成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分な人を支援する仕組みです。
本人の権利を守り、生活や財産管理を適切に行うために、家庭裁判所の関与のもとで後見人が代理で契約や財産の管理を行います。
この制度には、法定後見と任意後見の2つの種類があります。
いずれも本人の支援を目的としていますが、制度の開始時期や手続の内容などに大きな違いがあります。

法定後見と任意後見の違い

法定後見は、すでに判断能力が低下している人を対象とした制度です。
家庭裁判所が後見人を選任し、本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3類型から適切な支援が行われます。
後見人には親族が選ばれる場合もありますが、弁護士や司法書士などの専門職が就任することもあります。
一方、任意後見は、判断能力があるうちに、将来に備えて信頼できる相手と契約を交わす制度です。
この契約は公正証書で作成され、実際に判断能力が低下した後に家庭裁判所への申立てによって効力が発生します。
契約時に支援の内容を自由に定めることができるため、本人の意思に沿ったサポートが可能になります。

制度の活用が有効な場面

法定後見は、急な認知症の進行や事故などによって判断能力が著しく低下したときに、迅速な支援を得る手段として有効です。
本人の意思とは関係なく裁判所主導で後見が開始されるため、緊急対応が求められる場合に利用される傾向があります。
任意後見は、将来的な判断能力の低下を見据えて早期に準備する人に適しています。
自分の希望に沿った生活や財産管理を受けたい場合には、判断能力が十分なうちに契約を結んでおくことが重要です。
また、本人の価値観やライフスタイルを尊重した支援が実現しやすい点も、任意後見の特長といえます。

まとめ

成年後見制度とは、判断能力が不十分になった人を法的に支援する制度であり、法定後見と任意後見の2種類があります。
法定後見は家庭裁判所が主導して開始される制度であり、任意後見は本人の意思によって準備を進める制度です。
それぞれの制度の違いを正しく理解し、家庭や本人の状況に合わせて適切に使い分けることが将来の安心につながります。
自身や家族にとって最適な備えを行うためには、制度に精通した行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。